サラリーマンの不動産投資の始め方。実際にアパートを建てるまでの物語
サラリーマンの皆さんの中で「不動産投資」に興味がある方は多いのではないでしょうか。不動産投資は、サラリーマンの仕事をしながら家賃収入で生活を潤わせることができる夢のような副業です。
しかし、近年では「かぼちゃの馬車」「スルガ銀行」問題で、サラリーマンに対する金融機関の審査基準がかなりきつくなっているのも現状。
そんな中、私はサラリーマン年収400万円程度、勤務年数2年半という低属性で不動産投資を始めることができました。
今回は、私が新築アパートの不動産賃貸業を始めるまでに行ってきたことを詳しくご紹介していきます。
私と同じようなサラリーマンの方で、これから不動産投資や不動産賃貸業を始めようと考えている方は是非参考にしてくださいね。
1.実際に不動産賃貸業としてアパート投資をはじめたきっかけ
サラリーマンである私が、なぜ本業以外に不動産賃貸業としてアパート投資をはじめたのかをここで説明していきます。きっかけは、不動産業界への転職でした。
●なぜ不動産賃貸業を選んだのか
今でこそ不動産業界に8年ほどおりますが、大学を卒業してから不動産業界で働き始めたわけではありませんでした。
大学では経営学科を専攻しており、もともとベンチャー企業や起業に関して興味がありました。しかしこれといった将来の夢もなく、適当に選んだ飲食メーカーの営業の会社に就職しました。
適当な会社に就職したせいで仕事が長続きせず、そのあとも結局4社ほど転職を重ねて今の業界に落ち着きました。
縁あって宅建の資格を取得し、不動産会社で働き始めてから不動産の魅力に取りつかれてしまい、いつしか不動産業で独立したいという夢が出来たのです。
そして大学時代からあこがれていた起業や、不動産業界は独立ができるということから、まずは経営者としての経験を積むために不動産賃貸業をはじめようと思いました。
●なぜアパート投資だったのか
不動産投資には様々な種類がありますが、私はアパート投資を選びました。でも最初は、リスクが少ない1R区分マンション投資を始めてみようと考えていたんです。
しかし調べてみると、200万円から400万円の物件は、利回りこそ20%近くのものがゴロゴロありますが、手元に残るキャッシュフローが2万円くらいととても小規模なものだったのです(私が住む九州の田舎の場合です)。
現金で区分マンションを買っても、空室になったら家賃は0円だし、キャッシュは全然貯まらない…どうしよう…と考え、不動産投資を改めて猛勉強しました。
すると「アパートなら頭金で200万円~400万円出せば、キャッシュフローが10万円残り、空室が出ても、他の部屋の家賃が入ってくる」ということに気づき、アパート投資を始めることにしました。
●アパート投資で重視した点
私の場合、アパート投資は不動産で独立するためのものだったので、独立の時期を早める為にできるだけスピーディにキャッシュフローをためて、2棟目、3棟目と買い進めていく予定でした。
そのために「築古物件で3,000万円以下の利回り15%の木造」と、具体的に買いたい物件の条件を決めて探していました。
しかし私が探していた2016年当時はネット情報しか頼るものがなく、良い物件が出てもすぐに買い手が付いたり、5,000万円以上の規模の物件しか出てこなかったりして、先輩投資家さんやお金持ちの方に物件を取られていってしまいました。
引き続き中古物件を探していたある時、いつも本業の仕事で土地の情報を提供していた工務店さんに新築をすすめられ考えが180度変わりました。
新築はキャッシュフローがあまり出ないイメージがあり、始めから選択物件として検討しませんでした。
しかしその方の話を聞くと、「新築でも建築費用や土地価格を抑えることが出来れば十分にキャッシュが生まれる」とのこと。
まさに「灯台下暗し」「寝耳に水」「目からうろこ」という感じでした。
新築アパートの場合、しばらくは修繕費用がかからないから1棟目の物件としては始めやすいと思い、新築アパート投資を始めることを決意したのです。
2.不動産賃貸業を始めるために用意したもの
新築のアパート投資をやるぞ!と思い立ってからの行動は、自分でもびっくりするほど早いものでした。
ここでは私が不動産賃貸業を始める為に用意したものをご紹介します。
これは、私だけでなく誰でも実践できるものなのでしっかり確認しておきましょう。
●資金
まず、新築アパート購入に当たって一番大切な「頭金」を確保するために以下のことを心がけました。
・毎月10万円貯金
・パソコンを使った副業
・とにかく節約
貯金は、毎月の給料からあえて10万円を先に別の口座に移して貯めていきました。
別の口座に即座に移すことで、毎月の貯金額が目に見えていたので分かりやすかったです。
さらに、パソコンでできるライターの副業で毎月3万円ほど貯めていきました。
とっておきは、タバコや飲み会をきっぱり辞めて、昼食は家からお米だけ持っていき、カップラーメンで済ませていました。
この生活を2年ほど続けたおかげで、500万円近い頭金をためることができスタートを切ることができたのです。
本気でアパート投資を始めたいという気持ちがあれば、誰でも一歩踏み出すことは可能です。
●不動産投資の知識
不動産に関する本やユーチューブ、ブログなどは片っ端から読みあさりました。
不動産賃貸業と言えども、投資でもあるのでリスクはあります。
そのリスクを抑えるために、空室率が50%でもキャッシュフローが生まれる物件かどうかや、金利上昇を見越して、今よりも1%金利が上がっても返済が可能かどうかなどを本やユーチューブで知ることができました。
例えば、4部屋のアパートだと2部屋空室になった時点で赤字経営になる物件が多くあります。
しかし6部屋や8部屋などのアパートを建てることで、1部屋2部屋空室になってもキャッシュフローを確保することが可能に。このような知識は、本やユーチューブで勉強しないと知りえない知識でした。
不動産会社で働いているだけでは身に付かなかった知識も、本やユーチューブで勉強をすることで、知識として構築することができました。
●物件比較表
アパート購入を検討する時に、いくつかの物件を比較することを行っていました。
例えば、Ⓐの物件は駅から少し遠いので5段階評価の3、Ⓑの物件は駅から近いが日当たりが悪いので5段階評価の2というような表を作っていました。
比較表を作成することで、物件ごとの細かな項目の評価がすぐに分かります。
それぞれの評価を見比べて、総合的にどれぐらいの評価の物件なのかというのをチェックしていました。
3.不動産賃貸業のアパート投資で実際にやったこと
それでは実際に不動産賃貸業のアパート投資で、私が実際に行ったことをご紹介します。
●物件情報の収集
まず物件情報の収集を行いました。
不動産業の会社で勤めているため、土地情報や物件の情報はかなりたくさん入ってきていました。
その中で、希望の土地をピックアップし、建築メーカーや工務店さんに事業計画をお願いしました。
建築費や家賃設定など細かく決めて、キャッシュフローが出ない土地はどんどん切り捨てていました。
自分で探す方法以外には、他の不動産会社の知り合いの方や、アパート建築業者の方から土地をご紹介していただいていました。
私が選んだ物件はアパート建築業者さんからの紹介で、土地の金額も安く、駅からも近い立地だったためすぐに購入を検討しました。
●物件近隣の調査・リサーチ
購入したい物件が決まるとすぐに現地に行き、以下のようなことを調べました。
・周りにはどんな建物が建っているか
・同じような間取りのアパートは多いか少ないか
・コンビニやスーパーなどの施設は近くにあるか
・人口は過去10年どれぐらい増えているか
・地震の活断層内であるか
・ハザードマップで水害の心配があるか
毎日のように物件に行き、時には駅から物件まで実際に歩いて、何分ぐらい時間がかかるかを計ったこともあります。
何回も何回も調査やリサーチを重ねて「買ってもいい物件!」ということを自分の中で決めました。
私の性格上、石橋を何回も叩いて渡る性格なので少しやりすぎなところもあったのかもしれませんが、これぐらい細かく調査しても損はないので、しっかりと調査することをおすすめします。
●銀行訪問
アパート投資を始めるにあたって、銀行からの融資は必須になります。
日頃からお世話になっている地方銀行を何社も回り、物件概要書や事業計画書を持って訪問しました。
しかし、ほとんどの銀行が私の年収や勤続年数を見て「融資するのは難しい」という判断を下しました。
中には、頭金を物件価格の2割以上入れることを条件で貸す金融機関もありました。
結局、アパートローンを取り扱っている地方銀行で「金利2%融資期間35年頭金700万円」という条件で融資の承諾をもらえました。
何年か前だと、頭金なしのフルローンで融資を引けていましたが、近年では一棟目を買う時点でフルローンでの借入は難しく、ある程度の頭金を用意しておかなくてはいけません。
そのことを改めて痛感することができました。
4.不動産賃貸業の仕事内容
私の場合、不動産賃貸業はほとんど管理会社に任せているので、日頃から行う仕事が多くはありませんが自分の大事な物件なので、たまには掃除や見回りを行っています。
ここでは、私がアパートの入居者客付けをどのように行ったかや、賃料の設定をどのような基準で決めたかをご説明します。
●入居者客付け
入居者の客付けは、ほとんど仲介業者に任せていました。
しかし、仲介業者にまかせっぱなしも少し不安だったので、私自身も知り合いに声をかけたり自分の会社で募集をかけたりしました。
仲介業者には、広告料の他に、部屋を決めてくれた時の得点として個別に「商品券をプレゼントする」と言って、営業マンのモチベーションをあげていました。
しかしそれでも、なかなか入居者付けはうまくいきませんでした。
●賃料の設定・管理
アパートの家賃を設定する時に、新築だからすぐ決まるだろうという安易な気持ちで家賃設定を相場よりも少し高くしていました。
すると期待とは裏腹に、反響が全く無く、引き渡し2ヶ月前まで6部屋中1部屋しか決まっていませんでした。
私は焦り、家賃設定を見直すことに。
空室の5部屋中1部屋をキャンペーン価格で5000円ほど安くし募集していました。
すると、その安い部屋が目立つようになり次々に部屋が決まって行くことになりました。
家賃を相場よりも少し下げていましたが、代わりに礼金を一ヶ月分取る方法で募集をしていたので、実質、最初の賃料で決めたのと同じになりました。
手前味噌ではありますが、この戦略は自分なりにもよくやったと思っています。これも不動産会社で長年勤務していた経験や、本などで不動産賃貸業や不動産投資について勉強したことのおかげだと思っています。
●物件の管理
冒頭で説明したように、物件の管理はほとんど管理会社にお任せしています。
しかし、近くを通った時には設置している自動販売機や、エントランスに落ちている葉っぱの拭き掃除をしたりしています。
そして入居者の方と会う時には笑顔で挨拶をするように心がけています。
管理会社に物件の管理を丸投げするのも悪くないですが、私は「自分の物件」という自覚を持って、できるだけ自分でできる清掃や管理を行うように心がけています。
とはいえ、本業があるので無理をしないように管理会社の担当の方と連携して管理を頑張っています。
5.不動産投資の注意すべき点
ここでは私が経験した不動産投資の注意すべき点をご紹介します。
●注意点①サブリース物件には気をつけよう
今のアパートを新築する前に紹介された物件があります。
その物件も立地はよく、小学校が目の前のファミリータイプの物件だったのですぐ購入しようと考えていました。
しかし、利回りが低かったため4部屋中1部屋でも空室になると毎月のキャッシュフローがマイナスになる物件でした。
さらにサブリース付きの物件だったため、毎月の家賃は保証されますが、2年ごとに家賃の見直しがあるので引っかかっていました。
紹介してもらった方は、私の信頼する投資家の方でしたが、まさかサブリース物件を進めてくるとは思わなかったので少し残念な気持ちになり、その方との信頼関係は少し崩れたような気がします。
サブリース物件は家賃保証があるように見えて、後々家賃を下げる交渉をしてきたり、サブリース契約を解除させられたりする可能性があるのであまりおすすめはしていません。
皆さんもサブリース物件の実態をよく調べて購入を検討するようにしてくださいね。
●注意点②古すぎる物件は修繕費が大幅にかかることも
最初の一棟目で、築年数の古すぎる物件を購入することはあまりおすすめできません。
築古物件は利回りが良く、キャッシュフローも潤沢に得られるものもありますが、築年数が古いため水回りや外壁などの修繕が必要になってくる恐れがあります。
外壁からの雨漏りだったり、水道パッキンの摩耗による交換などが多くなります。
そのため、満室になったとしても修繕費で10万円~20万円一気に必要だったり、退去するために大幅なリフォームが必要になったりすれば、せっかく貯めていたキャッシュフローも修繕費で全部飛んでしまいます。
不動産投資初心者のサラリーマンの方が購入するには少しレベルが高くなるので、最初に買う物件としては築年数が浅い物件か、新築物件にすることをおすすめします。
6.不動産賃貸業を始めたい方へのアドバイス
私のように、サラリーマンのうちに不動産投資を始めようと思っているサラリーマンの方はとても素晴らしいと思います。
会社だけの収入に頼っていたら将来働けなくなったり、会社が倒産してしまった時に収入が途絶えたりしてしまいます。
不動産投資を行うことで毎月のキャッシュフローが安定し、物件を買い増ししていくことで仕事の早期リタイヤ(FIRE)も夢ではありません。
それぞれ不動産投資を行う目的があるかもしれませんが、私の場合、不動産業で独立するための安心できる収入源を確保するために不動産投資を始めました。
今はまだ1棟だけですが、今後2棟3棟と買い増ししていき、夢である不動産業での独立の仕事を有意義に進めていきたいと考えています。
本を読んだり動画を見るだけでは何も始まりません。
私のように思い切って行動に移し、一つずつ夢を叶えていきましょう。
不動産投資は勉強して知識があればあとは行動するだけです。
失敗を恐れず、思い切って不動産投資の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
とは言ってもやはり金額が大きいのでなかなか行動に移せない方も多いと思います。
そんな時は不動産投資を専門とする相談サービスなどを活用して行くのもおすすめです。
思い切って行動することももちろん大切ですが、一度専門家などに相談することも一つの手段です。